Faylay~しあわせの魔法
「私は平気」

『リディル~!』

リディルの声に、アリアは泣き叫んだ。

『ドラゴンが出たなんて言うから、本当に心配したんだぞ! 怖かっただろう? ああ、今すぐ抱きしめてやりたい!』

と、両手をこちらに伸ばした後、ギュッと自分を抱きしめているアリア。

それを半笑で見守るフェイレイと、まったく無表情のリディル。そして、ちょっと引き気味のヴァンガード。

『それで、ドラゴンの他に変わったことはなかったか?』

「ん? 特にないけど……そうだ、リディルがアランの女王を召還してた。俺、初めて見たんだけど、凄いな! あのドラゴンを一瞬で氷漬けだったもんな」

意気揚揚とアリアに報告しながらリディルに視線を投げかけると、彼女は興味なさげに僅かに頷いただけだった。

しかしアリアの反応は違った。

『……なんだと?』

低い声で、急に顔を強張らせる。

「母さん?」

任務中だということを忘れ、『母さん』と呼んでしまい「しまった」と口元を押さえたが、アリアは怒鳴り返してこなかった。

「母さん? どうかした?」

『ああ、いや……』

それからもアリアはしばらく考え込む仕種をした後、顔を上げた。
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