Faylay~しあわせの魔法
イライザ姫との通信を終え、ローズマリーはさっそくブラッティに連絡を入れ、フェイレイとヴァンガードをアライエルのヴァルトまで連れて行くように手配した。
軍の兵士たちは街の復興に借り出されているし、一般交通はまだ不安定で、おまけに『勇者』はどうしても人目を集めてしまう。
のんびりと航海を楽しむには、国に縛られず、気心が知れている海賊たちに世話になるのが一番良かった。
そうして次の日には出航となった。
空は晴れ渡ってはいるが、波はまだ少し高い。しかし海賊たちにとってはどうということはない航海になりそうだ。
フェイレイは三ヶ月お世話になったギルドの人たち、街の人たちに挨拶をして回り、部屋で荷物を整える。
部屋を出ようとしたところで、インターフォンが鳴った。
「はい?」
自動ドアをスライドさせると、ヴァンガードが立っていた。
「フェイレイさん、準備出来ましたか?」
「ああ、うん。行けるよ」
小さな皮のリュックだけの荷物を持ち、フェイレイは部屋を出る。
丸みを帯びた白い天井の下をゆっくりと歩きながら、ヴァンガードはチラ、とフェイレイの表情を伺った。
いつもと変わらなく見える。
フェイレイが慟哭した姿を見たのは、リディルが消えたあの日だけだ。それからずっと、彼は平静を装っている。
本当はそんなはずはないのに。
誰よりも傷ついているはずなのに。
軍の兵士たちは街の復興に借り出されているし、一般交通はまだ不安定で、おまけに『勇者』はどうしても人目を集めてしまう。
のんびりと航海を楽しむには、国に縛られず、気心が知れている海賊たちに世話になるのが一番良かった。
そうして次の日には出航となった。
空は晴れ渡ってはいるが、波はまだ少し高い。しかし海賊たちにとってはどうということはない航海になりそうだ。
フェイレイは三ヶ月お世話になったギルドの人たち、街の人たちに挨拶をして回り、部屋で荷物を整える。
部屋を出ようとしたところで、インターフォンが鳴った。
「はい?」
自動ドアをスライドさせると、ヴァンガードが立っていた。
「フェイレイさん、準備出来ましたか?」
「ああ、うん。行けるよ」
小さな皮のリュックだけの荷物を持ち、フェイレイは部屋を出る。
丸みを帯びた白い天井の下をゆっくりと歩きながら、ヴァンガードはチラ、とフェイレイの表情を伺った。
いつもと変わらなく見える。
フェイレイが慟哭した姿を見たのは、リディルが消えたあの日だけだ。それからずっと、彼は平静を装っている。
本当はそんなはずはないのに。
誰よりも傷ついているはずなのに。