Faylay~しあわせの魔法
『勇者』。
そう呼ばれることは、フェイレイにとって辛いものだった。
大切な人を護れなかった、そのことを嫌でも突きつけられる言葉であった。
けれど今からは違う。
本当の『勇者』になるべく、また突き進んでいくのだ。
「よし、行くぞ!」
ヴァンガードの肩を抱きながら歩き出したフェイレイは、胸元でチリチリと小さく鳴る金属音に気づく。
この三ヶ月、目を逸らし続けたその指輪たちを首から外し、しばらくジッと眺めていた彼は、自分の指輪だけを鎖から外した。
そして黒いグローブを抜き取り、左手の小指にはめ込む。
一度も指につけられなかったそれは、傷がつくこともなく、綺麗に輝いていた。
その輝きを見つめ、ハッと気づく。
「ヴァン、先に港に行ってて!」
「えっ?」
「ちょっと寄るトコが出来た!」
そう言い、フェイレイは全速力で走っていく。
向かった先は皇城のある街。先日行った市の人込みの中に飛び込み、一直線に向かったのは坊主頭にサングラスをかけた露店主のいる店だ。
つるつるに光る頭を見つけたフェイレイは、露店主に掴みかかるようにして叫んだ。
「おっちゃん! 結婚指輪、ください!」
いきなり飛び掛られた露店主は、サングラスの奥で目を丸くした後、嬉しそうに頷いた。
「あいよぅ~!」
そう呼ばれることは、フェイレイにとって辛いものだった。
大切な人を護れなかった、そのことを嫌でも突きつけられる言葉であった。
けれど今からは違う。
本当の『勇者』になるべく、また突き進んでいくのだ。
「よし、行くぞ!」
ヴァンガードの肩を抱きながら歩き出したフェイレイは、胸元でチリチリと小さく鳴る金属音に気づく。
この三ヶ月、目を逸らし続けたその指輪たちを首から外し、しばらくジッと眺めていた彼は、自分の指輪だけを鎖から外した。
そして黒いグローブを抜き取り、左手の小指にはめ込む。
一度も指につけられなかったそれは、傷がつくこともなく、綺麗に輝いていた。
その輝きを見つめ、ハッと気づく。
「ヴァン、先に港に行ってて!」
「えっ?」
「ちょっと寄るトコが出来た!」
そう言い、フェイレイは全速力で走っていく。
向かった先は皇城のある街。先日行った市の人込みの中に飛び込み、一直線に向かったのは坊主頭にサングラスをかけた露店主のいる店だ。
つるつるに光る頭を見つけたフェイレイは、露店主に掴みかかるようにして叫んだ。
「おっちゃん! 結婚指輪、ください!」
いきなり飛び掛られた露店主は、サングラスの奥で目を丸くした後、嬉しそうに頷いた。
「あいよぅ~!」