Faylay~しあわせの魔法
露店主から購入した指輪を両親の指輪と同じ鎖に通し、首から提げて港へ向かうと、海賊船の前でヴァンガードと、そしてローズマリーが待っていた。

「ローズさ……陛下!」

多くの侍女と騎士を従えたローズマリーは、煌びやかなドレス姿だ。

まさか一緒に行くなどと言いはしないだろうか……なんて不安が過ぎったが、それは杞憂のことだったようだ。

「お見送りに来ましたのよ」

ローズマリーはそう言い、にっこりと笑う。

「ヴァンくんから聞きました。リディルを探しに行くのですってね」

「うん……いや、はい」

「それでこそ貴方ですわ。きっと見つかります。頑張っていらっしゃい」

「はい。見つけたら真っ先に連絡する! ……じゃない、します」

「別にいつもの通りで構いませんわよ」

クスクスとローズマリーは笑い、そしてフェイレイも笑う。以前のような明るい笑顔に、2人とも嬉しそうだ。

「リディルが見つかる頃には、きっと惑星王も元気になってる……ますよね」

「くすくす……そうですわね」

「絶対にリディル連れて戻るから。そのときに……挨拶、しないと」

「挨拶?」

ローズマリーは小首を傾げた後、ああ、と笑った。

「それは楽しみですわ」

「……その。惑星王って、怖い人?」

「言いましたでしょう。とても優しい方ですわ。でも……」

少しだけ意地悪げに微笑み、ローズマリーは小声で言う。

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