Faylay~しあわせの魔法
「悪ぃな。俺はこっちの方が性に合ってんだよ。カイン様ならようく、分かってくださると思うが……」
と、海賊船に親指を向ける。
「……そうでしょうね。いえ、私の独り言です。気になさらないでください」
「美人にそんな哀しい顔をされると、弱いんだがな……」
ブラッディは溜息をついた。
共に旅をしたフェイレイやヴァンガードを見送り、カインはいつ目覚めるとも分からない状態。
立場的に自分に傅く従者たちには弱いところを見せられない。
泣き言を言える相手が欲しい。彼女がそう思っていることは明白であったが、ブラッディはあえて突き放す。
「カイン様の支えにはあんたがなるんだ。あんたがこの星の王の伴侶なんだぜ? 強くなくちゃぁな」
「……ええ」
「大丈夫だ。カイン様はじきに目を覚ます。そしたら伝えてくれ。傍にはいてやれねぇが、俺はいつでもカイン様を見守ってるってな」
「ええ」
「何かあったらすぐに駆け付ける。だから安心しな、皇后様よ」
ニッと笑うブラッディに、ローズマリーも笑みを浮かべ、頷いた。
「ありがとう。必ず伝えますわ」
「おう、よろしく頼む。……じゃあな」
軽く手を上げて別れを告げ、タラップを歩きながら手を振るローズマリーを振り返る。
「……カイン様。あんな魅力的な女放ったらかしにしていつまでも寝てると、誰かに掻っ攫われっちまうぞ~」
白い雲の浮かぶ青空に向かって呟いた声が、カインへ届いたのかどうかは分からない。
と、海賊船に親指を向ける。
「……そうでしょうね。いえ、私の独り言です。気になさらないでください」
「美人にそんな哀しい顔をされると、弱いんだがな……」
ブラッディは溜息をついた。
共に旅をしたフェイレイやヴァンガードを見送り、カインはいつ目覚めるとも分からない状態。
立場的に自分に傅く従者たちには弱いところを見せられない。
泣き言を言える相手が欲しい。彼女がそう思っていることは明白であったが、ブラッディはあえて突き放す。
「カイン様の支えにはあんたがなるんだ。あんたがこの星の王の伴侶なんだぜ? 強くなくちゃぁな」
「……ええ」
「大丈夫だ。カイン様はじきに目を覚ます。そしたら伝えてくれ。傍にはいてやれねぇが、俺はいつでもカイン様を見守ってるってな」
「ええ」
「何かあったらすぐに駆け付ける。だから安心しな、皇后様よ」
ニッと笑うブラッディに、ローズマリーも笑みを浮かべ、頷いた。
「ありがとう。必ず伝えますわ」
「おう、よろしく頼む。……じゃあな」
軽く手を上げて別れを告げ、タラップを歩きながら手を振るローズマリーを振り返る。
「……カイン様。あんな魅力的な女放ったらかしにしていつまでも寝てると、誰かに掻っ攫われっちまうぞ~」
白い雲の浮かぶ青空に向かって呟いた声が、カインへ届いたのかどうかは分からない。