Faylay~しあわせの魔法
『それで、お前はどうなんだ』

「何が?」

『怪我の程度だ!』

「ああ……えーと……右腕の火傷、凍傷と、貫通してる傷が2つ、背中に裂傷と~……あと、肋骨が~」

「肺に刺さってた」

リディルの顔が険しくなると、それに呼応するようにフォレイスがフェイレイの右腕を思い切り叩いた。

フェイレイはひっ、と飛び上がった。しかしその後、痛みはふっと消えてなくなる。

「いやー、なんか痛いし苦しいとは思ったんだけど~。まさかそこまでとは」

ハハハ、と軽くフェイレイは笑う。

『……無駄に頑丈だな、お前は』

よくそれでドラゴンから逃げ切ったものだとアリアは感心し、また安堵もしたのだった。

珍しくフェイレイに優しい目を向けていたアリアは、今度はヴァンガードに語りかける。

『ヴァンガード、初任務でドラゴンに当たるとは災難だったな。休暇を1日増やすから、ゆっくりするといい』

「ありがとうございます」

『君の活躍を知れば、お父上もお喜びになるだろう。連絡をしてやりなさい』

「……はい」

ヴァンガードは曖昧な笑みだけを返した。

それを見て、フェイレイは思い出す。


『あの人達は僕が無事に帰るより、勇敢に戦って死んだ方が嬉しいでしょうからね!』


そんなことを口にするのは、とても哀しいことだ。

一体どうしてそんな風に思うようになってしまったのか。フェイレイはただ、心配だった。
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