Faylay~しあわせの魔法
魔族たちはその声に足を止めた。
低く唸り声を上げ、変わらず鋭い殺意を放ってはいるものの、確かに足を止めた。
「俺はもう戦いたくない! お前たちを傷つけることもしたくない!」
哀しいすれ違いで生まれた抗争なら、話し合うことで止められはしないだろうか。
「頼む、話し合いに応じてくれ」
正面に立つ魔族に向かって祈るように囁く。
しかし魔族たちは襲い掛かってきた。
獰猛な牙を振りかざし、フェイレイに飛び掛る。
それでもフェイレイは剣を抜かなかった。ギリギリまで耐え、鋭い爪を持つ前足で身体を吹き飛ばされてやっと腕を振り上げた。
地面に組み敷かれながら、首元に噛み付こうとする魔族の頭を押さえる。
「俺はお前を傷つけない!」
グルルと低い唸り声を上げ、魔族は力づくでフェイレイの首を噛み切ろうとする。
「俺は今まで、魔族と戦うことが当たり前だと思ってた。でも、違う! 俺たちは分かり合えるはずだ! だから戦わないでくれ、話を……聞いてくれ!」
ぐわっと腕に噛み付かれた。
焼けるような痛みが全身に広がる。
それでもフェイレイは魔族から目を離すことなく、叫んだ。
「俺は戦わない!!」
ボタボタと顔に降り注ぐ自分の血。
それが目に入って目と閉じた瞬間、腕から牙が抜かれた。
魔族たちは地面の上に転がるフェイレイを見下ろした後、サッと踵を返し、森の奥へと消えていった。
低く唸り声を上げ、変わらず鋭い殺意を放ってはいるものの、確かに足を止めた。
「俺はもう戦いたくない! お前たちを傷つけることもしたくない!」
哀しいすれ違いで生まれた抗争なら、話し合うことで止められはしないだろうか。
「頼む、話し合いに応じてくれ」
正面に立つ魔族に向かって祈るように囁く。
しかし魔族たちは襲い掛かってきた。
獰猛な牙を振りかざし、フェイレイに飛び掛る。
それでもフェイレイは剣を抜かなかった。ギリギリまで耐え、鋭い爪を持つ前足で身体を吹き飛ばされてやっと腕を振り上げた。
地面に組み敷かれながら、首元に噛み付こうとする魔族の頭を押さえる。
「俺はお前を傷つけない!」
グルルと低い唸り声を上げ、魔族は力づくでフェイレイの首を噛み切ろうとする。
「俺は今まで、魔族と戦うことが当たり前だと思ってた。でも、違う! 俺たちは分かり合えるはずだ! だから戦わないでくれ、話を……聞いてくれ!」
ぐわっと腕に噛み付かれた。
焼けるような痛みが全身に広がる。
それでもフェイレイは魔族から目を離すことなく、叫んだ。
「俺は戦わない!!」
ボタボタと顔に降り注ぐ自分の血。
それが目に入って目と閉じた瞬間、腕から牙が抜かれた。
魔族たちは地面の上に転がるフェイレイを見下ろした後、サッと踵を返し、森の奥へと消えていった。