Faylay~しあわせの魔法
アリアとの通信を終えた後、3人は遅い夕食を取り、それぞれ与えられた部屋に戻っていった。


フェイレイはヴァンガードと同室。

ドアから入るとソファと机が置かれたリビングがあり、その奥に1人で寝るには広すぎるほどのベッドが2つ並んだベッドルームが続いていた。

バルコニーに出れば、白い砂浜に穏やかに打ち寄せる波、そして果てなく広がるコバルトブルーの海が広がっている。

今は月の光に淡く照らされ、静かな波音だけが響いてくるけれど。

ギルドの傭兵のために町長が用意してくれた部屋だが、リゾート地の宿屋はなかなか豪勢だ。

「新婚旅行はこういうとこがいいかなー」

ぼそりと呟いて、顔をだらしなく歪めながらベッドに寝転がるフェイレイを、ヴァンガードはチラリと見やっただけで、すぐに左手首につけた通信機を外した。

リビングのソファに座り、テーブルにそれを乗せてしばらく睨めっこをしていたが、軽く溜息をつくと通信機を手首に付け直した。

「……連絡、してやらないの?」

ベッドに寝転がったまま、フェイレイは訊く。

彼が妄想の旅に出ているものだとばかり思っていたヴァンガードは、少しだけ驚きながら振り返る。

「え? あ、いえ……今夜はもう遅いので、明日にします」

「そっか?」

「はい」

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