Faylay~しあわせの魔法
「セルティアの人たちは無事なんですか?」

「うん……戦闘で、たくさんの兵士の命が奪われてしまったけれど……政府の対応が早かったおかげで生き残っている人はたくさんいる。今はその人たちに支援が必要なんだ」

「それでアライエルに?」

「後で正式な使者が来るけどね。僕は君達をセルティアに連れて来るように言われてきたんだ。……支部長のところに」

フェイレイはハッとして、首から下げられている指輪を握り締めた。

「知ってる、かな? 支部長は……」

「……はい」

沈痛な面持ちで頷くフェイレイに、タウも痛々しそうに顔を歪める。

「君に逢いたがっていると思うんだ、支部長も」

フェイレイは深く頷くと、笑顔を見せた。

「あの、タウさん。それなら、セルティアに行く前に、寄って欲しいところがあるんですけど……」

「うん、どこに?」

「オースター島に。……父さんを迎えに」



夜になり、アライエル王との公式会談を済ませた翌日、フェイレイたちはタウの操縦する飛行艇でオースター島へと向かった。

冬の間は空からは一切入れない島であるが、春になれば大分気流が安定する。

高い岩壁を越え、まだまだ雪と氷に覆われた大地に着陸する。

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