Faylay~しあわせの魔法
アリアが埋葬されていたのは、フェイレイの生まれ故郷、アストラの村だった。

魔族に襲われ、災害に見舞われた村は、あちこちに瓦礫の山が出来ていた。

人々は家を失い、田畑を失い、それでもこの土地を離れようとはせず、なんとか復興させようと力を合わせて頑張っていた。

「追悼碑はギルドの街中に創られる予定だけど、やっぱり眠るなら家のあるここが良いのではないかという話が出て。君の承諾なしにすまない」

「いえ、ここでいいです」

暴風にでもやられたのか、フェイレイの生家も屋根が吹き飛び、半壊状態だった。

リディルと約束を交わした大木も、根こそぎ抜かれて地面に横倒しになっていた。

アリアの墓はその先の小高い丘にあって、遠くにキラキラと光る海面を見ることが出来た。

村の人たちも自分たちの生活を取り戻すので精一杯だろうに、銀のプレートのある周りの土は整えられ、花がたくさん飾られていた。

フェイレイたちはその墓を開け、アリアの骨壷の隣にランスの骨壷を置いた。

それをジッと眺め、溜息交じりに笑みを浮かべる。

「全然……実感、ないんだけどな……」

あの元気な人たちが、もうこの世にいないなんて。

ランスは星府軍に向かっていったのを知っているからまだ分かる。だが、アリアはアレクセイから話を聞いただけなのだ。それだけでは実感が湧いてこない。

それでも、もう逢えることはないのだろうと思うと、ジリジリと胸が痛んだ。

『必ず生き延びろ』

『待ってるよ』

2人の最後の台詞が、頭の中を駆け巡る。

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