Faylay~しあわせの魔法
ソファから立ち上がり、自分のベッドに横になろうとするヴァンガードに、フェイレイは話しかける。

「……なあ、ヴァン」

「はい?」

「お前のお父さんって、どんな人?」

「……父、ですか?」

ベッドに座りながら、フェイレイを振り返ったヴァンガードは、少し間を空けて答えた。

「一言で言うなら……威厳のある人、でしょうか。自分にも他人にも、妥協を許さない厳しい人ですよ」

「ふーん」

年の割に落ち着いているヴァンガードを見ていると、確かにそんな気がした。

「俺の父さん、ほわ~っとした人だからなー。厳しいお父さんか。あんまり想像つかないな」

「そうですか」

ヴァンガードもまた、フェイレイの能天気な姿を見ていると、どんな家庭に育ったのか解るような気がしていた。

「なあ、あれ……坑道で言ってたヤツさ」

「……ああ」

ヴァンガードは苦笑した。

「ドラゴンで気が動転して、色々おかしなことを口走りましたね。気を使わせてしまってすみません」

「いや、こっちこそごめん。気になったら黙ってられなくて」

「……大した話ではありませんよ」

ヴァンガードはそう前置きして、話し始めた。

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