Faylay~しあわせの魔法
「……ヴァン、タウさん、俺、行ってくるから待ってて」

「で、でも、どんな危険があるか分かりません……」

「大丈夫。俺、誕生日だから」

フェイレイは2人を安心させるよう、ニッと笑った。

「強い星が巡っているなら、きっとりディルのところに行けるよ。だから待っててくれ」

「ですが……」

「ヴァン、まだお父さんたちに逢えてないんだろう? 今までリディルのことばかりだったもんな。探しながら待っててくれよ。絶対、帰ってくる」

「フェイレイさん……」

「タウさん、こいつに力貸してやってください。お願いします」

「うん、分かったよ」

タウが頷くのを見て、フェイレイはヴァンガードの肩に手を置いた。

「じゃ、行ってくる」

太陽のように眩しい笑みを残し、フェイレイは立ち上がった。

くるりと背を向けて、光の向こうへと歩き出す。

「……フェイレイさん!」

ヴァンガードはその背に向かって叫んだ。

「絶対にリディルさんと一緒に帰ってきてくださいよ! 待ってますからね!」

「ああ!」

フェイレイは前を向いたままで手を振った。

そして、ふうっと姿を消した。

草原はまた、オレンジがかった太陽の優しい光に包まれる。

「絶対に、帰ってきてください……」

ヴァンガードは祈りを込めて呟いた。

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