Faylay~しあわせの魔法
それを聞いたフェイレイは、ベッドから飛び起きた。

「それは違うぞ! お前は優秀だ。ホントに凄い魔銃士なんだ。俺はお前に救われたんだ」

ドラゴンに見事弾を命中させ、フェイレイの命を救ってくれたのはヴァンガードだ。

「あれはまぐれですよ。もしかしたら、外していたかもしれないんです。貴方の勇気がなければ、僕は……撃たなかった」

「いや、お前は絶対外さなかった」

フェイレイは自信を持って言い切った。

「俺は5日間、ずっとお前を見てた。リディルもな。候補生のレベルじゃないって、話してた。だからあの時も、お前だから信用したんだ。絶対に助けてくれるって」

「……ハハ、そうなんですか。だったら……少しは、エインズワースの力を受け継げているんでしょうかね」

自嘲気味に微笑むヴァンガード。

「違うよ」

フェイレイは真っ直ぐにヴァンガードを見つめる。

「エインズワースの力じゃない。それはヴァンの力だ」

「……え?」

「それはヴァンが今まで頑張ってきた結果だ。家でも名前でもなんでもない。だからもっと自信持てよ。お前は、お前自身が凄いんだぞ」

ヴァンガードは目から鱗が落ちる心境だった。

そんなことを言われたのは、初めてだった。

家の者たちも、学校の教官やクラスメイトたちでさえも。

どんなに努力しても『エインズワースなのだから』と、出来なければ『エインズワースなのに』と──そんな風に思われていたのに。

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