Faylay~しあわせの魔法
「行く」
迷いなく即決するフェイレイ。
「俺、みんなに約束してきたんだ。絶対にリディルを連れて帰るって。待っている人がいっぱいいるんだよ」
《ならば、そう、伝えてやれ……》
「うん。あんたの言葉も忘れずに伝えるよ」
そう言うと、精霊王は穏やかに目を細めた。
そして倒れた巨木の方からするすると蔓を伸ばしてきて、フェイレイの小指に嵌められたシルバーリングにちょんと触れ、光を灯した。
《では、道を拓く……》
ふわふわとたゆたう白い霧の向こうに、ぼんやりと暗い道が見え始めた。
その暗い道はフェイレイが動かずともあっという間に近くにやってくる。
「……この、先?」
《そうだ。何があっても、自分たちの絆の強さを、信じて進め……。……ティターニアは、確かに魔王を愛していた。だが、リディアーナはお前が一番大切なのだ。そのことを、忘れるな……》
「知ってる。だから、行くんだ」
俺にも一番大切な人だから、とフェイレイは笑い、精霊王に礼を言い暗い道の先へと足を踏み入れた。
瞬間、足元がぐにゃりと歪んでバランスを崩した。
「うわっ」
倒れはしなかったものの、足元はグニャグニャしていて安定感がない。暗いのでどうなっているのか、目で確認することは出来ないけれど。
ふと振り返ると、白い霧の空間はまったく見えなくなっていた。
「……後戻りは出来ないんだな」
ふっと息を吐き出して気合いを入れなおすと、何も見えない闇の中へ、ずんずんと進んでいった。
迷いなく即決するフェイレイ。
「俺、みんなに約束してきたんだ。絶対にリディルを連れて帰るって。待っている人がいっぱいいるんだよ」
《ならば、そう、伝えてやれ……》
「うん。あんたの言葉も忘れずに伝えるよ」
そう言うと、精霊王は穏やかに目を細めた。
そして倒れた巨木の方からするすると蔓を伸ばしてきて、フェイレイの小指に嵌められたシルバーリングにちょんと触れ、光を灯した。
《では、道を拓く……》
ふわふわとたゆたう白い霧の向こうに、ぼんやりと暗い道が見え始めた。
その暗い道はフェイレイが動かずともあっという間に近くにやってくる。
「……この、先?」
《そうだ。何があっても、自分たちの絆の強さを、信じて進め……。……ティターニアは、確かに魔王を愛していた。だが、リディアーナはお前が一番大切なのだ。そのことを、忘れるな……》
「知ってる。だから、行くんだ」
俺にも一番大切な人だから、とフェイレイは笑い、精霊王に礼を言い暗い道の先へと足を踏み入れた。
瞬間、足元がぐにゃりと歪んでバランスを崩した。
「うわっ」
倒れはしなかったものの、足元はグニャグニャしていて安定感がない。暗いのでどうなっているのか、目で確認することは出来ないけれど。
ふと振り返ると、白い霧の空間はまったく見えなくなっていた。
「……後戻りは出来ないんだな」
ふっと息を吐き出して気合いを入れなおすと、何も見えない闇の中へ、ずんずんと進んでいった。