Faylay~しあわせの魔法
ゴトン、ゴトンと水車を回す小川の向こうに。
次第に晴れていく白い霧に見え隠れするのは、ハニーブラウンの長い髪をし、長いドレスに白いエプロンをつけた、翡翠の瞳の女性だ。
「……リディル!?」
フェイレイは駆け寄ろうとして、足を止めた。
──違う。
白い肌も、翡翠の瞳も、リディルにそっくりではあるのだが、小川の向こうに立ってジッとフェイレイを見つめているのは、もう少し年上の女性だ。
回る水車小屋。
清らかに流れる小川。
そこに佇む、リディルに良く似た女性──。
「……もしかして、リディルの……お母、さん……?」
信じられない思いでそう言うと、リディルの母──シャンテルが、柔らかく微笑んだ。
「なんでこんなところに……」
フェイレイの疑問にシャンテルは答えることなく、黙って腕を横に挙げた。
その指し示す方向には暗い森が広がっていて、そこにフェイレイから一直線に細い光が伸びていった。左手の指輪の光が再び戻っている。
「……この先に、リディルが?」
シャンテルは、黙って頷いた。
そして、桃色の唇を開く。
声は聞こえなかった。
けれども何と言っているのか、フェイレイには解った。
『あの子を、よろしくお願いします──』
シャンテルの頭がゆっくりと下げられ、フェイレイも慌てて頭を下げ返した。
次第に晴れていく白い霧に見え隠れするのは、ハニーブラウンの長い髪をし、長いドレスに白いエプロンをつけた、翡翠の瞳の女性だ。
「……リディル!?」
フェイレイは駆け寄ろうとして、足を止めた。
──違う。
白い肌も、翡翠の瞳も、リディルにそっくりではあるのだが、小川の向こうに立ってジッとフェイレイを見つめているのは、もう少し年上の女性だ。
回る水車小屋。
清らかに流れる小川。
そこに佇む、リディルに良く似た女性──。
「……もしかして、リディルの……お母、さん……?」
信じられない思いでそう言うと、リディルの母──シャンテルが、柔らかく微笑んだ。
「なんでこんなところに……」
フェイレイの疑問にシャンテルは答えることなく、黙って腕を横に挙げた。
その指し示す方向には暗い森が広がっていて、そこにフェイレイから一直線に細い光が伸びていった。左手の指輪の光が再び戻っている。
「……この先に、リディルが?」
シャンテルは、黙って頷いた。
そして、桃色の唇を開く。
声は聞こえなかった。
けれども何と言っているのか、フェイレイには解った。
『あの子を、よろしくお願いします──』
シャンテルの頭がゆっくりと下げられ、フェイレイも慌てて頭を下げ返した。