Faylay~しあわせの魔法
けれど遠距離から連携を取ることで、結果的にフェイレイもリディルも自分の力を高めることになった。
『セルティアの英雄』と呼ばれ始めたのは、その後だ。
初めはアリアとランスの息子だからと、単に名を受け継いだ形であった。
だが人々は徐々に、その実力を認め始めた。
それもこれも、リディルの力あってのことだ──。
階段を一段上がろうとして、足がよろけた。
そのまま壁に肩を打ちつけ、ズルズルと座り込む。
朦朧とした意識の中に、リディルとの思い出が駆け巡っていた。
いつかリディルと家庭を持てたらいいなと勝手に妄想し、実現させるためにお金を貯め始めたこと。
ヴァンガードからリディルの出生の秘密を聞かされ、焦ったこと。
指輪を贈って抱きしめたこと。
星府軍に追われだしたこと。
誤解を招いて頬を叩かれたこと。
星空の下の草原で、後ろから抱きつかれたこと。
アライエルでプロポーズしたこと。
初めてキスを交わしたときのこと──。
走馬灯のように巡る思い出に、フェイレイは小さく呟く。
「なんだ……俺、死ぬのかな……」
壁にもたれるように倒れたまま、身体が動かない。
『セルティアの英雄』と呼ばれ始めたのは、その後だ。
初めはアリアとランスの息子だからと、単に名を受け継いだ形であった。
だが人々は徐々に、その実力を認め始めた。
それもこれも、リディルの力あってのことだ──。
階段を一段上がろうとして、足がよろけた。
そのまま壁に肩を打ちつけ、ズルズルと座り込む。
朦朧とした意識の中に、リディルとの思い出が駆け巡っていた。
いつかリディルと家庭を持てたらいいなと勝手に妄想し、実現させるためにお金を貯め始めたこと。
ヴァンガードからリディルの出生の秘密を聞かされ、焦ったこと。
指輪を贈って抱きしめたこと。
星府軍に追われだしたこと。
誤解を招いて頬を叩かれたこと。
星空の下の草原で、後ろから抱きつかれたこと。
アライエルでプロポーズしたこと。
初めてキスを交わしたときのこと──。
走馬灯のように巡る思い出に、フェイレイは小さく呟く。
「なんだ……俺、死ぬのかな……」
壁にもたれるように倒れたまま、身体が動かない。