Faylay~しあわせの魔法
「……でも」
揺れる翡翠の瞳から零れ落ちる涙を指先で掬い取り、フェイレイは言う。
「しあわせになって、いいんだよ。だって、みんながそう望んでるんだ」
「でも」
「リディル」
深海色の瞳が、優しく細められる。
「一緒に、しあわせになろう」
ふわあっと、風が舞った。
互いの姿しか見えない暗闇の中に天から一筋の光が差し込み、そこから円形状に青空が広がっていく。
青空の下に広がるのは、色とりどりの花が咲き誇る花畑。
風に舞う花びらが自分たちに降り注ぐのを呆気に取られて眺めていたフェイレイは、リディルの膝から身を起こした。
「凄い……」
見渡す限り広がる美しい花たちが放つ甘い芳香を、優しくてあたたかい風が2人のもとへ運んでくる。
雲ひとつない空には、柔らかな光を放つ太陽も輝いていた。
「フェイ、私……」
まだ零れ落ちる涙が、リディルの白い頬の上で光っている。フェイレイはそれを指先で拭ってやり、そして自分の首から下がっているネックレスを引き千切った。
コロリと掌の上に転がる結婚指輪。
その小さい方を摘み、リディルに向き直る。
「いっぱい、不安なこと……あると思う。リディルが重い罪を背負っていると思うなら、その半分を、俺に」
リディルの左手をそっと取り、薬指に指輪をはめ込む。
「哀しみも半分。しあわせも半分だ。だって、ずっと一緒に、生きていくんだから」
揺れる翡翠の瞳から零れ落ちる涙を指先で掬い取り、フェイレイは言う。
「しあわせになって、いいんだよ。だって、みんながそう望んでるんだ」
「でも」
「リディル」
深海色の瞳が、優しく細められる。
「一緒に、しあわせになろう」
ふわあっと、風が舞った。
互いの姿しか見えない暗闇の中に天から一筋の光が差し込み、そこから円形状に青空が広がっていく。
青空の下に広がるのは、色とりどりの花が咲き誇る花畑。
風に舞う花びらが自分たちに降り注ぐのを呆気に取られて眺めていたフェイレイは、リディルの膝から身を起こした。
「凄い……」
見渡す限り広がる美しい花たちが放つ甘い芳香を、優しくてあたたかい風が2人のもとへ運んでくる。
雲ひとつない空には、柔らかな光を放つ太陽も輝いていた。
「フェイ、私……」
まだ零れ落ちる涙が、リディルの白い頬の上で光っている。フェイレイはそれを指先で拭ってやり、そして自分の首から下がっているネックレスを引き千切った。
コロリと掌の上に転がる結婚指輪。
その小さい方を摘み、リディルに向き直る。
「いっぱい、不安なこと……あると思う。リディルが重い罪を背負っていると思うなら、その半分を、俺に」
リディルの左手をそっと取り、薬指に指輪をはめ込む。
「哀しみも半分。しあわせも半分だ。だって、ずっと一緒に、生きていくんだから」