Faylay~しあわせの魔法
それは、太陽の微笑み。

暗闇を歩き続けた少女を照らす、何よりも眩しくて温かいもの。

「フェイ……」

涙を堪えようとしているリディルに、フェイレイは笑顔のまま手を差し伸べる。そんな彼を見つめ、リディルは顔を歪ませた。

「……一緒に、いても……いい?」

震える小さな声に、フェイレイは笑顔で頷く。

リディルがそっと伸ばす指は、まだ躊躇いがちに震えている。それでもゆっくりとフェイレイの肩に触れ、穏やかな深海色の瞳を見つめた。

そんなリディルに、フェイレイは両手を広げたまま笑みを向ける。

「これからも、俺が護っていくから」

「……うん」

「一緒に乗り越えていこう」

「うん」

「大丈夫」

穏やかだけれどしっかりと。力強く紡がれた言葉に、リディルは顔を歪めてフェイレイに抱きついた。

それを待っていたかのように、フェイレイは腕をリディルの背に回す。

リディルから戻ってこないと意味がなかった。

自分の意思で、一緒に歩いていくと決めてもらわなければ。

だからこそ、自分からフェイレイの胸に飛び込んできたリディルをしっかりと抱きとめる。

もう放さないと、強く抱きしめる。

「リディル、ありがとう」

そっと囁かれる言葉に、リディルからは笑みが零れた。

「フェイ、ありがとう」

そう言い、彼の胸に頬を寄せる。


フェイレイの太陽のような笑顔も、優しい声も、しあわせをもたらす魔法のように、リディルの心をあたたかく包み込んでいた。



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