Faylay~しあわせの魔法
「自分のしあわせを探しても、いい頃なのですけれどねぇ……」

ローズマリーは軽く溜息をつきながら、聞こえないように小さく呟く。

「……分かりましたわ。定時連絡は忘れずにしてくださいね。貴方のご両親も心配でしょうから」

「はい。僕から連絡を入れておきます」

オズウェルとビアンカとは、あの後すぐにセルティアギルドで逢うことが出来た。魔族の被害を受けた人々を、保護して回っていたのだそうだ。

それから2人と一緒に皇都に来て、皇族を護る者として働いている。

両親とはまだギクシャクした部分はあるけれど、うまくやれているとヴァンガードは感じている。



「では陛下、殿下、行ってまいります」

ヴァンガードは2人に頭を下げると、部屋を出て行った。

「ばーん! はやくかえってきてねぇ~!」

「お気をつけて」

ルドルフとローズマリーは、にこやかに手を振って見送る。


今日は雲ひとつない快晴だ。

この旅立ちも、きっと良い方向へ導いてくれるに違いない。

「絶対、見つけてみせます」

ヴァンガードは見上げた蒼穹に誓いを立て、足取りも軽く旅立っていった。





──終わり──




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