Faylay~しあわせの魔法
《お前には、分かるのだな》
「え?」
フェイレイは目を丸くして辺りを見回す。誰の姿もなかった。ただ、全身の肌がざわざわと粟立つ。
《お前に、託す》
何を言われたのか分からなかった。言葉の意味を理解したわけではなかった。
けれど次の瞬間、フェイレイはリーブと一緒に走っていた。
『たすけて』と──誰かに、言われた。
とても小さな声で、今にも消えそうだったけれど。確かに、そう訴えかけられた。
決して外に出るなというアリアの言いつけをすっかり忘れ、暴風雨の中を駆け抜ける。
泣きじゃくるリーブたちに導かれ、何度もぬかるんだ地面に足を滑らせながら辿り着いたのは、大きくうねりながら道を寸断する川だった。
昼なのに夜のように暗い景色の中を流れていく濁流を、目を凝らして見つめていると、一瞬だけ白いものが見えた。
更に目を凝らす。
どうどうと流れていく濁り水の中に、白いものがチラチラと見える。
「あれだ!」
フェイレイはそう思ったが、橋は流されてしまっているし、物凄い勢いで流れていく川岸には近づけそうにもなかった。
チラチラ見える白いものを追いながら走っていると、前方か茶色のドレスをまとった木の精霊クランが飛んできた。
クランもリーブと同じく、ボロボロと泣きながらフェイレイにしがみついた。
「え?」
フェイレイは目を丸くして辺りを見回す。誰の姿もなかった。ただ、全身の肌がざわざわと粟立つ。
《お前に、託す》
何を言われたのか分からなかった。言葉の意味を理解したわけではなかった。
けれど次の瞬間、フェイレイはリーブと一緒に走っていた。
『たすけて』と──誰かに、言われた。
とても小さな声で、今にも消えそうだったけれど。確かに、そう訴えかけられた。
決して外に出るなというアリアの言いつけをすっかり忘れ、暴風雨の中を駆け抜ける。
泣きじゃくるリーブたちに導かれ、何度もぬかるんだ地面に足を滑らせながら辿り着いたのは、大きくうねりながら道を寸断する川だった。
昼なのに夜のように暗い景色の中を流れていく濁流を、目を凝らして見つめていると、一瞬だけ白いものが見えた。
更に目を凝らす。
どうどうと流れていく濁り水の中に、白いものがチラチラと見える。
「あれだ!」
フェイレイはそう思ったが、橋は流されてしまっているし、物凄い勢いで流れていく川岸には近づけそうにもなかった。
チラチラ見える白いものを追いながら走っていると、前方か茶色のドレスをまとった木の精霊クランが飛んできた。
クランもリーブと同じく、ボロボロと泣きながらフェイレイにしがみついた。