Faylay~しあわせの魔法
父の耕した畑の様子、村を流れる小川のせせらぎ、澄み渡る青空を羽ばたいていく小鳥たち、セルティア全土に広がる、尖った針葉樹林、その先に広がる、キラキラ輝く青い海。
そのどれもが優しく、心を癒してくれるものだと感じていた。
「俺、海には父さんに一度だけ連れて行ってもらったんだけど、すごーく広くて、すごーく綺麗なんだよ! リディルも連れて行ってあげるね!」
にこにこと笑顔で語りかけても、リディルは遥か遠くに見えるキラキラ輝く海をぼんやりと眺めているだけだった。
彼女は、何を見ても反応を示さなかった。
瞳に景色を映してはいても、何も見えてはいなかった。
それでも諦めずに笑顔で話しかけるフェイレイを──リディルは見ていた。
村人たちは、リディルが川から助けられた少女だと知っていたので、良く声をかけてきた。
「元気になって良かったわねぇ」
この日もそう声をかけられたものの、リディルはそっとフェイレイの後ろに隠れた。
リディルは人が怖かった。
出来るだけ避けたかった。
けれども。
「うん、もう走れるんだよ! おばちゃん、ありがとう」
代わりにそう返してくれるフェイレイだけは、怖くなかった。
彼が信頼しているアリアとランスも、だんだん怖くなくなっていった。それは徐々に広がっていく。
フェイレイがいる世界だけが、怖くない。
彼の周りはいつも、光で満たされている。
そのどれもが優しく、心を癒してくれるものだと感じていた。
「俺、海には父さんに一度だけ連れて行ってもらったんだけど、すごーく広くて、すごーく綺麗なんだよ! リディルも連れて行ってあげるね!」
にこにこと笑顔で語りかけても、リディルは遥か遠くに見えるキラキラ輝く海をぼんやりと眺めているだけだった。
彼女は、何を見ても反応を示さなかった。
瞳に景色を映してはいても、何も見えてはいなかった。
それでも諦めずに笑顔で話しかけるフェイレイを──リディルは見ていた。
村人たちは、リディルが川から助けられた少女だと知っていたので、良く声をかけてきた。
「元気になって良かったわねぇ」
この日もそう声をかけられたものの、リディルはそっとフェイレイの後ろに隠れた。
リディルは人が怖かった。
出来るだけ避けたかった。
けれども。
「うん、もう走れるんだよ! おばちゃん、ありがとう」
代わりにそう返してくれるフェイレイだけは、怖くなかった。
彼が信頼しているアリアとランスも、だんだん怖くなくなっていった。それは徐々に広がっていく。
フェイレイがいる世界だけが、怖くない。
彼の周りはいつも、光で満たされている。