Faylay~しあわせの魔法
ある日、その原因にやっと気付いた。

ふと、目が覚めた夜中。月明かりだけが照らす夜の暗闇の中から聞こえてくる、小さな泣き声に気付いた。

「リディル!」

外に出て駆け寄ると、リディルは肩をビクリと震わせた。

顔を上げてフェイレイが駆け寄ってくるのを見つけると、慌てて目をゴシゴシを擦った。それでも拭いきれない涙は月明かりに照らされて淡く光る。

「どうしたの? 大丈夫?」

フェイレイは膝をついてリディルの顔を覗き込んだ。

「だいじょう、ぶ」

何でもないように笑おうとして、顔を歪ませるリディル。

笑いたいのに笑えない。笑わないと心配をかけてしまうのに。

そんな風に無理をしていることを、フェイレイは感じ取ってリディルの頭をそっと撫でた。

「あのね、リディル。哀しいときは、泣いてもいいんだよ? 無理して笑うことはないんだよ?」

フェイレイの言葉に、リディルはしゃくり上げながら顔を上げる。

「……ずっと、泣きたかったの?」

リディルは首を振った。

「わか、ら、ない。分からないけど、こわい」

「怖いの?」

「うん」

ゴシゴシと目を擦りながら、リディルは頷く。

そうして促されるままに夢の話をした。漠然とした不安の表れである、暗い底なし沼に沈みこんでいく夢を。

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