Faylay~しあわせの魔法
「ずっとそういう夢見てたの?」

こくり、とリディルは頷く。

「ずっと、ずーっと?」

また、リディルは頷いた。

するとフェイレイは情けなく顔を歪めた。

「ごめんね。俺、リディルは笑ってるから、元気になったんだと思ってた。でも、笑ってるからってしあわせだとは限らないんだね。気付かなくてごめんね」

リディルは首を横に振った。

気付かなくて当たり前だったのだと。心配させたくなくて笑っていたのだと、リディルは思っていた。

そんなリディルの頭を優しく撫でて、フェイレイは立ち上がる。

「リディル、もう泣かなくても大丈夫だよ。俺、リディルの『勇者』になって、ずっとずっと、護ってあげるからね」

「……『勇者』?」

「そう。『勇者』はお姫様の寂しい心を救った勇敢で、優しい心の持ち主なんだ。俺、そういう人になる」

フェイレイは、この惑星ミルトゥワに伝わる、古い言い伝えのことを言っていた。

誰にも登れない塔に閉じ込められた、可哀想なお姫様。そのお姫様の心を救うために、死をも恐れず塔を登っていった勇者。

そのお姫様と同じように哀しんでいるリディルを、勇者のように助けてあげる。

フェイレイは自分の中で、そう固く決意した。

「もう1人で泣かせたりしないよ。約束だよ」

小さな小指をリディルのそれと絡めて、約束した。


『勇者』になって、『姫』を護る──。

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