Faylay~しあわせの魔法
「なんと愛想のない。これだから、傭兵は……」
王に側仕える者達が眉を顰めるのを、王は軽く微笑んで制止した。
「良い。そういう者達だ。それよりも……気になるのは魔族の動向だ。10年前のようなことが、起きねば良いのだが……」
昔の悲劇を思い出しているのか、セルティア王は眉間に指を当て、静かに目を閉じた。
確かに、ここのところ魔族の動向はおかしかった。
遥か昔から、この星には人と精霊、そして魔族が住んでいた。
人と精霊はお互いを認め合い、共存する道を選んで今日まで来たけれど、魔族だけは相容れず、人や精霊を脅かし続けている。
だからこそ、フェイレイやリディルの所属する『ギルド』という傭兵派遣所が設立され、各国に剣士や精霊士などの特殊な職業を極めた者達が派遣されているのだ。
国にはそれぞれ護国の兵士が存在したが、魔族相手となると、特別な訓練を受けたギルドの傭兵に分があった。
だから大国の側には必ずと言っていいほどギルドの派出所があり、魔族が出現すればそこからすぐに傭兵が出動するようになっていた。
その出動回数が、この数ヶ月で倍にも上っている。
確かに、魔族は人や精霊を襲う種族だ。
けれども、最近の襲撃は今までの比ではない。何かあったのかと思うのが自然だ……。
城の外に出たリディルの肩に、ふわりと森の精霊フォレイスが乗る。
この国を取り囲む広大な針葉樹林のような、緑色のとんがり帽子を被った小さな少女の姿をしたフォレイスは、にこにことリディルを見上げた。
《ありがとう》
森を護ってくれたリディルたちに礼を言いに来たらしい。
リディルは無表情ながらも、白い指先でフォレイスの頭をとんがり帽子の上から優しく撫でてやった。
王に側仕える者達が眉を顰めるのを、王は軽く微笑んで制止した。
「良い。そういう者達だ。それよりも……気になるのは魔族の動向だ。10年前のようなことが、起きねば良いのだが……」
昔の悲劇を思い出しているのか、セルティア王は眉間に指を当て、静かに目を閉じた。
確かに、ここのところ魔族の動向はおかしかった。
遥か昔から、この星には人と精霊、そして魔族が住んでいた。
人と精霊はお互いを認め合い、共存する道を選んで今日まで来たけれど、魔族だけは相容れず、人や精霊を脅かし続けている。
だからこそ、フェイレイやリディルの所属する『ギルド』という傭兵派遣所が設立され、各国に剣士や精霊士などの特殊な職業を極めた者達が派遣されているのだ。
国にはそれぞれ護国の兵士が存在したが、魔族相手となると、特別な訓練を受けたギルドの傭兵に分があった。
だから大国の側には必ずと言っていいほどギルドの派出所があり、魔族が出現すればそこからすぐに傭兵が出動するようになっていた。
その出動回数が、この数ヶ月で倍にも上っている。
確かに、魔族は人や精霊を襲う種族だ。
けれども、最近の襲撃は今までの比ではない。何かあったのかと思うのが自然だ……。
城の外に出たリディルの肩に、ふわりと森の精霊フォレイスが乗る。
この国を取り囲む広大な針葉樹林のような、緑色のとんがり帽子を被った小さな少女の姿をしたフォレイスは、にこにことリディルを見上げた。
《ありがとう》
森を護ってくれたリディルたちに礼を言いに来たらしい。
リディルは無表情ながらも、白い指先でフォレイスの頭をとんがり帽子の上から優しく撫でてやった。