Faylay~しあわせの魔法
フェイレイは完全に起き上がり、ベッドに胡坐をかいた。それを見てヴァンガードも起き上がり、フェイレイの方に体を向ける。
「僕の家は精霊士の家系だって言いましたよね?」
「ああ」
「宮廷精霊士となるほどの優秀な精霊士もいました。けれど……『女王』を召還出来たという話は聞いたことがありません。……というか、無理なんです。『女王』を召び出すのは」
「え? でも……」
リディルは召還できていた。フェイレイはそう言いたかったが、ヴァンガードは構わず続けた。
「精霊たちは本来、気位の高い種族です。自分の認めた人間にしか姿を見せず、力も貸しません。……『王』を召ぶには、『皇』でないと……無理なんです」
「……ええと、つまり?」
「精霊の女王を召還出来るのは、惑星王の一族。皇家のみです」
フェイレイはしばらくポカンとしていたが、やがて信じられないというような目でヴァンガードを見た。
「仮説です、って言いましたからね。もしかすると、リディルさんの力が凄いだけなのかもしれませんし。でも……辻褄が合いすぎるんだ」
ヴァンガードはフェイレイの視線から逃れるように、視線を窓の外へ向けた。
ザザン、ザザン、と静かに波が浜に打ち寄せる音が響く。
「……10年前、何があったか知っていますか? 僕は宮廷精霊士の子孫だから、聞かされていました。10年前のあの天変地異は、『ヒト』の悪意が高まったから……それに反応した魔族が勢力を拡大し、力を増した魔族に怯えた精霊たちが引き起こしたものなんだそうです」
「え、ええ?」
フェイレイはグルグルと回りだした頭の中を落ち着かせようと、プルプルと頭を振った。
「僕の家は精霊士の家系だって言いましたよね?」
「ああ」
「宮廷精霊士となるほどの優秀な精霊士もいました。けれど……『女王』を召還出来たという話は聞いたことがありません。……というか、無理なんです。『女王』を召び出すのは」
「え? でも……」
リディルは召還できていた。フェイレイはそう言いたかったが、ヴァンガードは構わず続けた。
「精霊たちは本来、気位の高い種族です。自分の認めた人間にしか姿を見せず、力も貸しません。……『王』を召ぶには、『皇』でないと……無理なんです」
「……ええと、つまり?」
「精霊の女王を召還出来るのは、惑星王の一族。皇家のみです」
フェイレイはしばらくポカンとしていたが、やがて信じられないというような目でヴァンガードを見た。
「仮説です、って言いましたからね。もしかすると、リディルさんの力が凄いだけなのかもしれませんし。でも……辻褄が合いすぎるんだ」
ヴァンガードはフェイレイの視線から逃れるように、視線を窓の外へ向けた。
ザザン、ザザン、と静かに波が浜に打ち寄せる音が響く。
「……10年前、何があったか知っていますか? 僕は宮廷精霊士の子孫だから、聞かされていました。10年前のあの天変地異は、『ヒト』の悪意が高まったから……それに反応した魔族が勢力を拡大し、力を増した魔族に怯えた精霊たちが引き起こしたものなんだそうです」
「え、ええ?」
フェイレイはグルグルと回りだした頭の中を落ち着かせようと、プルプルと頭を振った。