歌姫ロンリネス
ep.1
出会い①
単純に、何故私は一人になることが出来ないのだろうか。
今みたいな時間が、大好きなのに。
読みかけのライトノベルをパタリと閉じ、小さくため息をついた。
つまらない。
何度言えばいいのだろう。
まぁ、つまらないから、つまらないと言うだけなんだけど。
ふと手元にある缶コーヒーを啜り、私は顔をしかめる。
そうだ、私はコーヒーが好きじゃない。
一つため息をついてから、
音楽プレーヤーを取り出して、イヤホンをはめ再生ボタンを押す。
しばらくすると、ギターの軽快なサウンドと、ドラムの刻むリズムが心地良い曲が流れてくる。
『キミが例え遠くに居ても…』
リズムをとり、自分の歌声と重ねる。
『想いは変わらないよずっと…』
夕方の公園に行き場もなく消える歌声。
聞かれたいわけじゃないけど、何だか虚しい。
『変わらないから…信じて』
ブランコでぶらぶら揺れながら、呟くように歌う時間。
それがただ心地良いだけ。