歌姫ロンリネス
お兄さんでしたか。
確かに雰囲気は似てるけど…。
……似てないかも。
「あ、今似てねーなとか思った?」
瀬良さんの一言。
図星である。
「え?あ、はい、すみません」
「認めるんだ?」
クスクス笑う瀬良さんと、同じく笑って私の頭をぽんぽんと撫でる瀬良先輩。
ちょっと…いやかなりややこしい。
「あ。ややこしいだろうしさ、俺のことは芳樹でいいから。ついでにカケのことも名前で呼んでやれよ」
タイミング良すぎだ、芳樹さん。
「芳樹さん…でいいですか?」
「おう」
「…翔先輩…がいいんですか?」
「何だそれ」
また笑い出す芳樹さん。
そんな時。
一つの赤いギターが視界に飛び込んできた。
ストラトキャスタータイプのギター。
赤色の部分がキラキラと光り、。
一目惚れ。
「…かっこいい……」
歩み寄り、眺める。
キラキラ輝くそのギターに、くぎづけになってしまう。
「決まったのか?」
「はい。…これ、これにします!」