また君に恋をする。
「何やってんの?風邪ひくよ」


俺がそう言うと、彼女は微かに笑った。


「アタシはだいじょーぶ。好きでこうしてんだから。アンタこそアタシなんかに構ってると風邪引くわよ」


好きでこうしてる?
わけわかんねぇ。


「…そーだ」


彼女は鞄から折りたたみ傘を取り出して俺に渡した。


いやいやいや、あるんならさせよ、傘。


「これあげる」


「は?アンタがさせよ」


「ううん。見ず知らずの女を心配してくれたお礼。ありがと」


彼女は歯を見せて笑った。


そして彼女はいなくなった。


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