オッサン革命

act15.モラトリアム




―――遡ること9時間前


「…そんなの、わかんねぇだろ」

唇が重なる




「聡太って、酒乱?」

「…ッ」


悔しそうに顔を歪めた聡太は、朦朧としていた。杏子は聡太の頬に手を添え、中身の入った焼酎をそっと


ガポッ


迷わず口に突っ込んで、そのまま聡太の体を反転させた


「とりあえず潰れようか」

「…んぅ…!」




「飲めた?」


聡太の口から瓶を抜くと、体内に取り込まれなかったアルコールが口から流れ出た


「はは、やりすぎたー」


聡太の頬をぺちぺち叩いてみたが、聡太は呻くだけだった。
杏子は聡太に水を大量に飲ませ、トイレに閉じ込め、また水を飲ませトイレに閉じ込め…を繰り返し、そのまま毛布にくるんで床に転がした



「おやすみ…あ、潰れたやつには相応な対価を支払ってもらわねば」


杏子が手に取ったのは油性ペン



――現在に至る



「ちょ、ちょいまって、これ、油性!?」

「油性だね」


結果的に杏子にキスしたその後は何もしなかった(つーか出来なかった)ということなのだが、それより優先するべきは洗顔だった


「あんこ!風呂場からクレンジングオイル持ってこい!」

「え、落とすの?」

「落とすに決まってんだろ!!」

聡太は必死だ。



ジャバジャバ、


「ふー…落ちた」

「あーあ勿体無い」

「別に勿体無くない!…ったくあんこはー」


あんこはベッドに寝そべって足をぱたぱたさせて言った


「じゃ、朝飯食べ行くかい」

「、おう」




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