アンガー・グラッチ・ヘイトレッド
ポケットには五百円玉が一枚。
六十円の長方形の棒付きアイスと百二十円のソフトクリームを一つづつ買い、コンビニを出た。
自転車の前に付いている籠にアイスの入ったビニール袋を入れ、自転車のスタンドを…
「おいっ!」
振り向くと、案の定そこには縁石に座っていた男が立っていて、オレを睨み付けていた。
「何か?」
「てめぇ、俺達のこと見てただろ!」
どうやら男はさっき目が合ったことに腹を立てているご様子だ。
「いや、別に見てないと思うんだけどなぁ。」
「嘘つくなっ!」
女の方は「ねぇ止めなよ。ユウ君最近変だよ?」と今にも泣き出しそうな表情で男の腕を掴んでいる。
が、男は聞く耳を持たない。
「ここじゃ場所わりぃからよぉ。ちっとついてこいよ。」
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