アンガー・グラッチ・ヘイトレッド

おそらく…
いや、確実に勝負は一撃で決着が着くだろう。
だからお互いに全力を出す。
2人の声が建物の中で響き、そしてすぐ何事も無かったかのように静寂が訪れる。
静寂は戦いの終わりを意味していた。
男が倒れそれと同時にバットが床に転がる。
女はそれを見向きもせずに折れた竹刀を片手に歩いていく。
「待てよっ！」
男が叫ぶと女は足を止めた。
「これは引き分けだろう？俺はもう動けねぇが、そっちも獲物が使い物にならねぇだろ。」
彼女をよく見ると折れてぶらぶらになった竹刀を伝って床にぽたぽたと血が垂れていた。
「だから引き分けだ。決着が着くまで俺は追いかけるぜ。」
女は再び歩き出した。
「それとあともう一つ！
君が…好きだ！」
男はそれだけ言うと眠るように意識を失った。
女は歩きながら言う、
「バッカじゃないっ！」


男は夢の中で今まで自分の中でぐずぐずしていたクロが喜びの雄叫びを上げるのを聞いていた。