アンガー・グラッチ・ヘイトレッド
ブラック対クロ
「へぇ…これは。」
とある学校の屋上を校門から眺める1人の男がいた。右手に黒く塗った釘バット。左手に真新しい竹刀を持って。
「なかなか面白いことになってんじゃねぇか。」
男の視線の先にはこれまで相手にしてきた獲物を遥かに上回る大きさのヤツがニヤリと笑っていた。
「まるで…この世の全ての黒が集まっているみたいだ。」
普通の人が初めて見たならばそう思うだろうし、口に出すだろう。
だがこの男はそうで無い事を分かっていたし、口にもしなかった。
あれだけ集まっていてもこの町の全ての黒が集まってるくらいだろう。いや、ひょっとするとこの町のほんのわずかな黒でしかないのかも知れない。
この世の黒に限りは無い。
そんな事はとっくに分かっている。だからあれだけの黒を目の当たりにしても冷静でいられるのだ。
それに自分は白では無く、黒だということにも何となくではあるが気づいている。だから、白である彼女に惹かれるのだ。
まぁとりあえずそれは置いておこう。
何か理由があってここにいるのは間違いないないのだから。とにかく今はその理由を探しに進むしかない。
*
僕達はまだ闇と砂の中をさ迷っている。いや、真っ直ぐに進んでいるから、さ迷っているわけでは無い。だけど進むべき道が分からないから
「さ迷っているのと同じか。」
詩織ちゃんは起きる気配が無いし、砂は勢いこそ弱まったけどまだまだ降ってくるし、景色は全く変わらないしで疲労もそろそろピークに達しそうだ。
今出来る事は埋まらないように歩き続ける事だけ。
足はぱんぱんだ。靴の中に入った砂はもうどうでも良くなっている。
いっそここに寝っ転がって砂に埋もれてしまえば、どんなに楽になれるだろう。
しかし彼女を想うとそんな事は出来ない。
あぁ辛い。と、口には出さなかったが心の中で呟いた。そんなときに
「もう止めても良いんじゃねぇの?」
突然暗闇から声がした。
「滝本…お前は十分頑張ったよ。」
聞き覚えのある声。というより俺はコイツを知っている。
「堂本なのか!?」
そうだ。この声は親友である堂本に間違いない。姿は見えないけど長年付き合ったヤツの声ぐらいは覚えている。
「あぁ…そうだ。」
堂本は普段よりトーンが低い声で話す。まるで自分が世界を滅ぼす悪だと言わんばかりに。
とある学校の屋上を校門から眺める1人の男がいた。右手に黒く塗った釘バット。左手に真新しい竹刀を持って。
「なかなか面白いことになってんじゃねぇか。」
男の視線の先にはこれまで相手にしてきた獲物を遥かに上回る大きさのヤツがニヤリと笑っていた。
「まるで…この世の全ての黒が集まっているみたいだ。」
普通の人が初めて見たならばそう思うだろうし、口に出すだろう。
だがこの男はそうで無い事を分かっていたし、口にもしなかった。
あれだけ集まっていてもこの町の全ての黒が集まってるくらいだろう。いや、ひょっとするとこの町のほんのわずかな黒でしかないのかも知れない。
この世の黒に限りは無い。
そんな事はとっくに分かっている。だからあれだけの黒を目の当たりにしても冷静でいられるのだ。
それに自分は白では無く、黒だということにも何となくではあるが気づいている。だから、白である彼女に惹かれるのだ。
まぁとりあえずそれは置いておこう。
何か理由があってここにいるのは間違いないないのだから。とにかく今はその理由を探しに進むしかない。
*
僕達はまだ闇と砂の中をさ迷っている。いや、真っ直ぐに進んでいるから、さ迷っているわけでは無い。だけど進むべき道が分からないから
「さ迷っているのと同じか。」
詩織ちゃんは起きる気配が無いし、砂は勢いこそ弱まったけどまだまだ降ってくるし、景色は全く変わらないしで疲労もそろそろピークに達しそうだ。
今出来る事は埋まらないように歩き続ける事だけ。
足はぱんぱんだ。靴の中に入った砂はもうどうでも良くなっている。
いっそここに寝っ転がって砂に埋もれてしまえば、どんなに楽になれるだろう。
しかし彼女を想うとそんな事は出来ない。
あぁ辛い。と、口には出さなかったが心の中で呟いた。そんなときに
「もう止めても良いんじゃねぇの?」
突然暗闇から声がした。
「滝本…お前は十分頑張ったよ。」
聞き覚えのある声。というより俺はコイツを知っている。
「堂本なのか!?」
そうだ。この声は親友である堂本に間違いない。姿は見えないけど長年付き合ったヤツの声ぐらいは覚えている。
「あぁ…そうだ。」
堂本は普段よりトーンが低い声で話す。まるで自分が世界を滅ぼす悪だと言わんばかりに。