アンガー・グラッチ・ヘイトレッド
闇雲の手を片方づつ引っ張り引き戻そうとしたが、自分達も膝まで埋まっている上に柔らかい砂で踏ん張るのは難しかった。
「このままだと三人とも砂の中に引き込まれるわ!」
「おいおい!頼むから何とかしてくれよ!」
この状況の中またしても砂人形が現れ、僕と詩織ちゃんを背後から羽交い絞めして闇雲から引き離そうとした。
「後ろに倒れこもう!」
俺と詩織ちゃんは砂人形に寄りかかるようにして後ろに倒れその倒れる力を利用して闇雲を引っ張り出すのに成功した。同時に砂人形の拘束から開放された。
「助かったぜ。」
闇雲が体に付いた砂を払い落としながら言った。
「まだそうとは言い切れないみたい!」
詩織ちゃんが指差した方向には堂本が立っていた。もう殆んど体の色が黒一色になっていたけど、感覚で堂本だと分かった。
「堂本!クロちゃんになんか負けんなっ!」
二人がそろって俺を見た。堂本が叫ぶ。
「俺は負けてないっ!むしろその逆さ…、俺は勝つんだ!この救いようの無い世界にな!」
「何を言っているの!?」
そう叫び返したのは詩織ちゃんだ。
「お前が一番良く分かってるだろ?」堂本は威圧的だ。「お前が一番見てきただろ?」
詩織ちゃんは怒るどころか哀れむように言った。
「分かってる…分かってるけど、アンタがやろうとしてることは間違ってる。」
「だったら…止めてみろ!」
堂本が叫ぶと暗闇から音もなく伸びてきた黒い手に体のあちこちを捕まれ、そのまま暗闇に引っ張られたかと思うと突然目の前が光で溢れその光の中に放り出された。
その出来事は一瞬で声を出すどころか瞬きする間も無かった。
固い地面に乱暴に放り出されて見てないけど体のあちこちを擦りむいたのが分かった。
屋上のコンクリートの上に俺達三人は転がっていた。あちこち痛かったが直ぐに起き上がる事ができた。
「くっそ…あの野郎…」
そう言いながら闇雲がよろよろと立ち上がり、近くに倒れていた俺が立ち上がるのに手を貸してくれた。
一足早く起き上がっていた詩織ちゃんは屋上の端に立っていた。彼女の視線の先にはとてつもなく大きな黒いクロちゃんが空中に不気味に浮かんでいた。もう手の届かない距離に移動していて、今もどこかを目指してゆっくりと空中を漂っていた。
「このままだと三人とも砂の中に引き込まれるわ!」
「おいおい!頼むから何とかしてくれよ!」
この状況の中またしても砂人形が現れ、僕と詩織ちゃんを背後から羽交い絞めして闇雲から引き離そうとした。
「後ろに倒れこもう!」
俺と詩織ちゃんは砂人形に寄りかかるようにして後ろに倒れその倒れる力を利用して闇雲を引っ張り出すのに成功した。同時に砂人形の拘束から開放された。
「助かったぜ。」
闇雲が体に付いた砂を払い落としながら言った。
「まだそうとは言い切れないみたい!」
詩織ちゃんが指差した方向には堂本が立っていた。もう殆んど体の色が黒一色になっていたけど、感覚で堂本だと分かった。
「堂本!クロちゃんになんか負けんなっ!」
二人がそろって俺を見た。堂本が叫ぶ。
「俺は負けてないっ!むしろその逆さ…、俺は勝つんだ!この救いようの無い世界にな!」
「何を言っているの!?」
そう叫び返したのは詩織ちゃんだ。
「お前が一番良く分かってるだろ?」堂本は威圧的だ。「お前が一番見てきただろ?」
詩織ちゃんは怒るどころか哀れむように言った。
「分かってる…分かってるけど、アンタがやろうとしてることは間違ってる。」
「だったら…止めてみろ!」
堂本が叫ぶと暗闇から音もなく伸びてきた黒い手に体のあちこちを捕まれ、そのまま暗闇に引っ張られたかと思うと突然目の前が光で溢れその光の中に放り出された。
その出来事は一瞬で声を出すどころか瞬きする間も無かった。
固い地面に乱暴に放り出されて見てないけど体のあちこちを擦りむいたのが分かった。
屋上のコンクリートの上に俺達三人は転がっていた。あちこち痛かったが直ぐに起き上がる事ができた。
「くっそ…あの野郎…」
そう言いながら闇雲がよろよろと立ち上がり、近くに倒れていた俺が立ち上がるのに手を貸してくれた。
一足早く起き上がっていた詩織ちゃんは屋上の端に立っていた。彼女の視線の先にはとてつもなく大きな黒いクロちゃんが空中に不気味に浮かんでいた。もう手の届かない距離に移動していて、今もどこかを目指してゆっくりと空中を漂っていた。