会えない時間
お互いになにも身に纏わない姿で掛け布団をかけたのは空も白み始めた頃。
「…目、赤い。泣いたの?」
目の下を指で撫でられて、心地よさに目を閉じた。
「ねぇ、麻耶。もっとわがまま言って」
髪を撫でる手が優しい。
ゆっくり瞼を開ければ真剣な眼差しの秀紀さん。
「…わがまま…言ったら嫌われちゃう気がして……好きだから、言うの怖くて…」
秀紀さんの目を見て言うことができなくて秀紀さんの胸に顔を埋めた。
「うん」
こんな優しい声で続きを促されたら、全部を言ってしまいそう。
「お仕事いっぱいで……疲れてるから…負担にならないようにしなきゃって…思って」
頬に涙が流れた。
今日は自分でも呆れるくらいに泣いた。
「麻耶。確かに仕事で疲れてるときもある。でもどんなに疲れていても、麻耶は負担になんてならないから」
ねぇ、秀紀さん。
鼓動が速いのは私にドキドキしてくれてるから?
そうだったら、嬉しいな。