手をつないで。
翌朝。
玄関を出ると、いつものように椎兎がいてあたしを待っていた。
「おはよう、椎兎」
「…おはよ」
朝の椎兎は普段の2割り増しで無口。
普段から口数少ないクセに。
2人で並んで学校までの道のりを歩く。
歩き始めて5分後…。
ふいに手が温もりに包まれた。
「…しい」
思わず立ち止まって見上げると、椎兎の顔は耳まで真っ赤になっていた。
恥ずかしいのか、照れてるのか、顔はあたしに向けようとはしない。
でもそんなこと全然構わない。
「椎兎、大好き」
椎兎にしか聞こえないように小さな声で言って、椎兎の手を握り返したのだった。
End