手をつないで。
カチャッという音とともにあたしの部屋に我が物顔で入って来たのは幼稚園から幼馴染でつい半年ほど前に彼氏にもなった椎兎【しいと】。
まっすぐにベッドに座って雑誌を読んでいたあたしに椎兎は擦り寄って来る。
同い年の椎兎は贔屓目なしにかっこいい。
中学から急に伸びた身長はあっという間にあたしを抜かしていった。
小学校のときは大して変わらなかったのに。
「茅【かや】」
「なに?」
ノックもなしに入って来るのは初めてのことじゃないし、むしろ椎兎がノックをした試しなんて一度もない。
「押し倒していい?」
にこにこ笑う表情と熱を帯びた瞳に心臓が思わず大きく跳ねた。