親友以上恋人未満。


あたしは肩より短い髪に、無駄に高い背。

どう考えたって亜美には敵わない。


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「真冬ーゲーセン寄ってかねぇ?」


放課後、直樹からのお誘いに鼓動が静かに跳ねる。


「行くっ」


自分で言うのは変かもしれないけど。

直樹に、友達としてなら好かれてる自信がある。

よく目も合うしっ。


「っ、亜美は?」


少し頬を赤くした直樹が亜美を誘う。

帰り支度をしていた亜美は首を横に振った。


「今日は先約があるから、また今度誘ってね」


亜美はそう言うと手を振って帰っていった。

直樹は亜美がきっと好きなんだと思う。

よく話したりしてるし、よく遊びに誘うし。

だから今も断られて落ち込んでると思った。


「直樹?」


呼び掛けると、いたって普通の、表情。

……変な奴。

好きな子に断れたのにさっ。

私はというと正直、亜美が断ってほっとしてた。

これで直樹と二人でいられるから。

友達の亜美を邪魔と思ってしまうくらい、直樹が好き。


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