親友以上恋人未満。



直樹と二人で遊ぶ時間はあっという間で。

季節が冬ということもあってか、もう空は暗い。


「真冬ちゃんだぁ」


背後からした声に振り返ると。


「亜美…」


…と亜美と手をつなぐ知らない男の子がいた。


「亜美、その人…」


ひょっとして…。


「えへへ、彼氏の紫朗【しろう】くん」


嬉しそうに、照れたように微笑みながら亜美が紹介してくれた。

紫朗くんもぺこっとあたしたちに頭を下げた。

直樹、辛くないかな。

好きな亜美が彼氏といたら辛いものじゃ…。

そう思って直樹を見つめていると、直樹と目が合った。

そしてみるみるうちに直樹の顔が真っ赤に染まっていく。

…やっぱり、亜美が好きなんだ。

じゃなきゃ、あんな風に赤くなったりしないよね。


「ごめんっ。あたし帰るっ」


無性に泣きたくなって、挨拶もそこそこに駆け出した。

できるだけ明るい声出したし不審には思われない。

本当は直樹の顔を帰る前にもう一度見たかったけど、見たら本当に泣きそうだったからやめておいた。

駆ける背中に直樹の声が聞こえたような気がした。


< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop