親友以上恋人未満。
直樹と二人で遊ぶ時間はあっという間で。
季節が冬ということもあってか、もう空は暗い。
「真冬ちゃんだぁ」
背後からした声に振り返ると。
「亜美…」
…と亜美と手をつなぐ知らない男の子がいた。
「亜美、その人…」
ひょっとして…。
「えへへ、彼氏の紫朗【しろう】くん」
嬉しそうに、照れたように微笑みながら亜美が紹介してくれた。
紫朗くんもぺこっとあたしたちに頭を下げた。
直樹、辛くないかな。
好きな亜美が彼氏といたら辛いものじゃ…。
そう思って直樹を見つめていると、直樹と目が合った。
そしてみるみるうちに直樹の顔が真っ赤に染まっていく。
…やっぱり、亜美が好きなんだ。
じゃなきゃ、あんな風に赤くなったりしないよね。
「ごめんっ。あたし帰るっ」
無性に泣きたくなって、挨拶もそこそこに駆け出した。
できるだけ明るい声出したし不審には思われない。
本当は直樹の顔を帰る前にもう一度見たかったけど、見たら本当に泣きそうだったからやめておいた。
駆ける背中に直樹の声が聞こえたような気がした。