親友以上恋人未満。
さっきよりも暗くなった空の下を一人でとぼとぼと歩いて家に着いた。
部屋に入ってから携帯を見るとちょうど亜美から電話がかかってきた。
どうしよう。
出なきゃいけないけど今は亜美の声聞きたくない。
それでも着信音は鳴り続く。
「……もしもし」
結局出てしまった。
直樹が好きだけど、亜美も好きで。
友達の亜美に嫌われたくなくて。
『真冬ちゃん?今日どうしたの、何かいやなことあった?』
亜美の心配する声がスピーカーから響く。
でも本当のことは言えない。
亜美を一瞬でも邪魔だと思ってしまったなんて。
「何もないよ、本当に用事があっただけ」
嘘。
本当は用事なんて何もない。
ただ少しでも早くあの場からいなくなりたかっただけ。
『嘘、つかないで』
亜美にずっと憧れてた。
あたしにないものを持ってる亜美に。
いっそのこと嫌いになれたらよかった。
でも亜美と一緒にいると居心地がよかったのも本当で。
だから拒みきれなかった。