小春日和
眠りの姫
「ふわ~あ」

季節は春。今日はいわゆる小春日和。

眠気は最高潮☆

新学期が始まったとは言え、学年が一つ上がっただけで、そんなに緊張感も無かった。

中学生活も2年目にもなれば、慣れが出てくる。

1年の時はまだ、新入生ということで緊張感があった。

来年は受験生だ。今までで1番緊張することは、目に見えている。

だから2年の今が、1番気が緩みやすい。

アタシは桜並木を歩きながら、欠伸を連発していた。

「あっ、ダメだ…」

くらっ…と一瞬、気が遠くなった。

毎日6時間寝てても、この小春日和には勝てない。

アタシは家に着くまでガマンできなくなって、方向転換した。

向かった場所は川原の土手。

ここは土手沿いに桜の木が植えられていて、今は満開で見応えがある。

広い土手には広場が作られていて、街から離れているせいか人の姿はあまりない。

草原は整備されていて、昼寝をするにはうってつけだった。

近くに交番があるので、変な人はうろつかないし。

アタシは人から離れ、草原に寝転んだ。

「ふあああ…」

もうそろそろ限界…。

このポカポカとあたたかい陽差しに、優しい風、青空と白い雲が、日常からアタシを切り離す。

「おやすみ…」

誰に言うでもなく、アタシはそのまま瞼を閉じた。

優しく撫でる風に、身を任せながら…。
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