小春日和
それからと言うのも、どんなに眠くてもガマンした。

だけどっ! この小春日和は強いっ!

あの日から10日が過ぎていた。

あの場所へ向かい、キョロキョロと辺りを見回す。

だけど誰もいない。

…でもこの『誰もいない』という環境がマズイのかもしれない。

遊具のある所では、子連れのグループがいる。

それに他にも草原で寝ている人もチラホラ。

だけど人の多い所の方が、安全かもしれない。

…それとあの青年に会わないだろう。

人のいる所はちょっと気恥ずかしいけれど、赤っ恥をかくよりはマシ。

同じように昼寝している人がいるし。

アタシはフラフラしながら寝転んだ。

「ふわっ…。おやすみ」

そしてまた、夢の世界へ飛び立った。

カァー カァー

「んんっ…」

またカラスが鳴いている。

カラスが鳴いているのならば、もう夕暮れなんだろう。

そろそろ家に帰らなきゃ…。

うっすらと眼を開ける。夕暮れの空が、眼に映った。

何度が瞬きをしながら起き上がると、

「やっ」

…どこかで聞いたことのある声が、隣から聞こえてきた。

深呼吸して隣を見ると、やっぱりあの青年がいた。

「…ども」

もう二度目ともなると、ただの偶然とは言いづらい。

「アタシの寝顔に、何か?」

こうなれば開き直るだけだ。

「ん? いや、良く寝ているなぁと思って。可愛い寝顔だし」

…よく『口を開かなければ、美少女』と言われるアタシだ。

寝顔はさぞ可愛かったんだろうな。
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