「こころの音」
それからは、いつでもとおると一緒だった。楽しかった。優しいとおるは、本当に暖かい人で、こころが満たされた。

ゆうこのこころの奥では、幸せの音が鳴っていた。

「なぁ、ゆうこ。たまには家に帰って顔だけでも出してきな〜」
とおるにそう言われて、

「意味無いけどね…」

その夜、久々に家に帰った…
父親が帰ってきていた。

「何やってるんだ、お前は…」

「別に…」

母親の姿が見当たらない…

「お母さん、また家出てるんだ」

「離婚したんだよ。本当にすっきりした…」

ゆうこは、同感だった…
今まで、母親に愛された記憶もなかったし、嫌な思い出が、今でもこころに傷になって残っている……
生涯忘れる事はないだろう……

家に帰ってきたばかりなのに、もうとおるの事を考え、会いたい気持ちが募った。

(私は、本当にとおるが大好き…会いたい…会いたい…)

着替えを持って、また家を出た。





< 13 / 28 >

この作品をシェア

pagetop