「こころの音」
落ち込んでる私にとおるは必死に励ましてくれた。

いつも以上に一緒に行動した。

「なぁ、ゆうこ…俺、もうすぐ卒業だろ。卒業して高校行けば、今みたいに年中居られなくなるじゃん…みさきたちも当分帰ってこれないだろうから、ゆうこが二年になったら、今と同じじゃなくて、ちゃんと学校行けよ。」

「とおるが卒業して高校行っても、私、とおるとたくさん会うよ!」

「わかってるよ。俺はそういう事が言いたいんじゃなくて……ゆうこに新しい友達を作ってもらいたいんだよ。」

「ん、とおるの言いたいことわかる…」

「ちゃんと家に帰って、学校行って、クラスの友達作ってさ〜」

(とおる…ありがとう…私のこと、こんなに心配してくれて)

ゆうこは涙がこぼれた。

ゆうこのこころの奥で幸せの音がずっと鳴り響いていた。




とうとう、とおるの卒業式…
(あ〜この日が来ちゃったか…)

また久しぶりに学校に行った。
この日だけは早く出かけた。
とおるとたくさん写真を撮って、思い出の校舎も撮って……

ゆうこも一緒に帰った。

とおるの高校の入学式までは、毎日一緒に過ごした。

とおるが高校生になったことは嫌だった。

なんだか、とおるだけ大人の仲間入りしちゃう気がして……

離れちゃう気がして……ゆうこは寂しかった。


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