「こころの音」
次の日、学校で、ひろみが、
「ねぇ、ちょっと大丈夫なの?」

「うん、もう大丈夫。ちょっと泣きすぎただけ…」

ゆうこのぱっちりした目は腫れて、一重になっていた。




月日は流れ……ゆうこも三年生。



あれからもゆうこは、とおるの事を忘れられないでいた…

「もう進路、大体のとこ決まったの?」

「私はひろみみたいに頭良くないから、選べないよ〜」

もうそんな時期で、皆そんな雰囲気になっていた。


家に帰り、進路の事を父親に相談した。

「借金が多くて、ゆうこを高校に行かせてやれないんだ…」

「えっ!?何言ってるのよ!!今まで、取り戻そうと必死に頑張ってきたのに」

「なんでうちはいつでも普通の生活がおくれないの?」

「……」

「どんな顔して明日から学校で高校の話とかすればいいのよ!!」

「もう、本当に無理だ…こんな生活もう嫌だっ…」

ゆうこは気付いたら裸足でとびだしていた…


夜の公園でうつむきながら、ベンチにぽつんと座っていた。
ゆうこには未来がないのか…普通の中学生が求める、未来はないのか?


こういう時はいつもこころの奥に何かがいて、音を鳴らしている……

また大きな音が鳴っていた……



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