「こころの音」

そんなある日、会社に父親が倒れて入院したと連絡があり、病院に飛んでいった。

医師は、
「残念ながら、末期の胃ガンで余命一ヵ月……です」

「……それ……本当なんですか…そんな急に言われても信じられない……」

「ここまでになってると、もうどうにもならないんですよ……」


（どうしてなの？なんで？まだこんなに若いのに…）



涙をこらえなければ、父親に会わす顔がない……
辛かった……


小さい頃からの出来事が、一瞬にしてよみがえる…



「お父さん、無理しずぎたんじゃないの？この際だから、きちんと体休めて治してね」

「もうダメだろう……自分の体だ、一番よくわかる……」

「何…言ってるのよ…」

少し声が震えた…


それから父親は目を閉じた…


その姿は、今亡くなってもおかしくないぐらい、痩せ細っていた…


ちょっと見ない間にこんなに変わってしまった父親の姿を見ながら、今までのことをゆうこはふりかえっていた…


病気は恐い…こんなにも人を変えてしまう……

もうすぐ逝ってしまう父親を思うと、いとおしく、辛かった…

涙があふれてもう止められない…



そっと病室を出た。