「こころの音」
いつものように、ゆうこはあの異様な匂いの家に帰ってきた。
誰もいない……
(酔ってるのに出掛けたのか…)
宿題や明日の用意をして、漫画本を読んだりして過ごした。
夜になっても帰ってこない…
(また居なくなったのか…)
冷蔵庫のソーセージを一本食べて、父親の帰りを待った。
夜10時になっても帰ってこない…

(どうしたんだろう…何でお父さん帰ってこないんだろう…)
ゆうこは心細く、恐さもあって、テレビをつけたままにした。
いつのまにか眠っていた…
朝方目が覚めた。
やっぱり誰もいない…

(私、捨てられたのかな…)
朝には、きちんと用意して、何事もなかったかのように、学校へ行った。

だがゆうこは、今日は帰ってくるのか、その事が頭から離れなかった……

やっぱり夜になってもまた、誰も帰ってこなかった……
今回は、誰かに相談したほうが良いか、考えていた。
(でも、もう少し待とう…自分の限界まで、一人でやってみよう)

ゆうこは捨てられたんだろうという思いが強かったが、なんとか頑張ろうと心に決めた。

一週間も経った……

夕方父親が帰ってきた。

ゆうこはわんわん泣いた。「私一人にして、どうして一週間も帰ってこなかったの?」
「出張だったんだよ…」
「なんで言ってくれなかったの?どれだけ恐い思いしたか、お父さんになんかわからないよ!!」
「ごめんな…ゆうこ」

(絶対うそだと思った。だったら、私に言っていくはずだもん…)

身勝手な両親の態度に、ゆうこはもう嫌気がさしていた。
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