「こころの音」
次の日、酔ったまま、母親が夕方帰ってきた…

見たくない顔だった…

「どこに居たと思う〜?」

「何よ、知るわけないじゃん!!」
怒りをこめて、ゆうこは言った。

母親が隣との壁を指さす…意味がわからなかった…
母親がゲラゲラ大声で笑う…

「隣の家に居たんだよ!」

「えっ!?何言ってるの?まさか隣のおじさんの部屋に居たの!!」

「そうだよ。」


ここで、お互いの言葉は途切れた……


信じられなかった…
私が一人で恐い思いに震え、空腹に耐え、心細く、泣きながら捨てられたのかと、不安で胸がしめつけられそうな中、隣の一人暮らしのおじさんの家に、壁一枚へだてたところに、平気で居たのだ……


ゆうこは何だか悔しかった、まだ小学校三年生の自分に悔しかった…
何もできない無力の自分……


また…こころの奥で、大きな音が鳴り続いてる……


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