「こころの音」
念願の中学に行ってまだ間もない…

(私何してるんだろう…)

そう思いながらも、足は家と反対の方向に向っていた。

荷台が開いてるトラックによじ登る…
(今日はここで寝よう)

早朝に起きて、ゆうこは公園の目立たないところに行った…
皆学校に行く時間だ…
あんなに何があっても、学校だけは行っていたゆうこは、罪悪感で胸が痛かったが…何だか、今まで頑張ってきた事なんて、どうでもよくなっていた。

お腹がすいたけど、我慢して、公園の水だけ飲んだ。
日中は行くところを探して、ぶらぶらした。夕方になって、空き家に忍び込んだ…
朝早くスーパーの裏口に行って、たくさん菓子パンを盗んだ…お腹の空いているゆうこには、もう罪悪感などなくなっていた。

5日ぐらい過ぎたころ、外でばったり先生に見つかって、そのまま学校に連れていかれた。

「何日も帰ってないってお父さんから聞いて、先生たち、心配して探してたんだぞ…」
先生の言葉は優しかった。
理由を聞かれたけど、何となく…と答えておいた。

何日か異臭のする、あの家にこもり、また何日かして学校に行ってみると、私の事はもう噂が広がっていた。
仲良くしてくれてたゆきちゃんも、あまり目を合わさない…要するに、私と付き合いたくないのだろう。

でも、ゆうこは何となく予期していた事だったから、それでも大丈夫だった。

休み時間、他のクラスのみさきちゃん・まりちゃん・ゆうみちゃんが私のところに来た。

見た目、かなり不良っぽい…

「家出してたの?」
ゆうみが聞いてきた。

「そうそう、何となくね。」
ゆうこは苦笑いした。

でも、三人はきさくにはなしてくれて、学校も一緒に帰ることになった。

(私、仲間に入れてもらえるかな?)

授業中、そんな事考えていた。



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