短編■ 男子中学生用トラップ
生徒から
・諦め
リキは深いため息を吐き出すと、ベッドに転がる女を見つめた。
白い背中は警戒心まるで0。携帯をカチカチいじっている女がこちらを向いた。
「ほっぺ、どしたの」
「んー怪奇現象?」
「あはは、ウケる」
二言目には“ウケる”と言わないといけない義務があるのだろうか。
(……。)
「帰って」
「えー…?なんで、ミカ今日泊まるつもり」
自分のことを名前で言わないといけない法律であるのだろうか。
(あーあ、メンドイな)
(こいつ何っけ、ジョシコーの女だったか?それとも…?)
得体の知れない女と関係を持って、それを悪いとは思わない。
あれはいつだった…?リキはもう思い出せない。
陰を知るにはまだ若かった。