短編■ 男子中学生用トラップ
寝息をたてる女を余所にタバコをふかす。まだ体に残った酒が瞼を重くさせる。
――女を抱いても何も思わない。一時のそれを愛だと感じることはできない。
寂しい人間だとリキはつくづく思う。
(もう9時、か。1時間目体育っけ…サボれてラッキ)
のんびりとした起床を咎める親は居ない。
軽くシャワーを済ませる。
明るい色をした長い髪を遊ばせ、つけっぱなしのピアスをなんとなしにいじる。
(拡張させよーかなー…)
着崩した制服に身を包むと女を家から追い出す為に、学校へ向かう。
朝日と呼ぶには高く登り過ぎた太陽の下、バイクを走らせた。
心地良い時間、唯一の癒し。